A Cheap MELCO Orion

神田一ツ橋のあたりから北へ歩いていた。晩秋の、寒い、深夜か朝か分からない時間だ。薄いコートをきつく巻き付け、速足で神保町の交差点を渡りきったところで振り返ってみると、三菱電機製の安いオリオン座がちょうど墜ちてゆく。墜ちた先には、火の手があがっている。

ああ、これで私の愛する古書店街はすべてだめかもしれないな、と一瞬思ってはみたものの、既にどうにもならない。

舗道の上の細い都電のレールを辿り、気づいたら志村橋あたりまでたどり着き、ゴルフ練習場の隣の狭いシャワー室で躰を温める。


きょう午後